【2023年10月版】特定技能に関する最新動向について

Akiko Ohkubo

特定技能や技能実習について、制度の見直しが行われています。よりよい外国人雇用の実現に向けて様々な意見交換が日々行われています。
既に行われているもの、これから変わっていくもの、現在検討中のものなど、最新の動向をまとめました。

特定技能2号の分野拡大・試験実施について

令和5年6月9日に閣議決定がされ、8月31日より「特定技能2号」の分野が拡大されることになりました。特定技能1号が12分野があり、今までは建設業分野と造船・舶用工業分野の溶接区分のみが対象となっていましたが、介護を除くすべての分野が特定技能2号の対象となりました。
※介護分野は、国家資格・介護福祉士の取得により、在留資格「介護」への変更が可能(もともと特定技能2号に相当する在留資格があったため、介護分野には特定技能2号はありません)

建設業分野では、今までに全国で約10名ほどの特定技能2号で在留している外国人がいます。特定技能2号の要件は、「特定技能2号評価試験」やそれに相当する資格(建設業の場合は技能検定1級)の試験合格が条件となりますが、2023年10月末時点で「特定技能2号評価試験」はほとんどの分野で実施されておりませんでした。

この度の改正・施行を経て、少しずつではありますが「特定技能2号評価試験」の実施要項が公開されるようになりました。現時点で確認できているのは下記の分野です。

  • 素形材産業・産業機械・電気電子情報関連
  • 建設
  • 造船・舶用工業
  • 農業
  • 飲食料品製造業
  • 外食

特定技能の試験情報については、当事務所の就労ビザHPにおいてまとめたページを掲載しています。

特定技能1号評価試験情報(2023年10月12日現在)
特定技能1号評価試験情報(2023年10月12日現在)

参考:出入国在留管理庁「特定技能2号の対象分野の追加について(令和5年6月9日閣議決定)

特定技能・技能実習の新制度のアウトラインについて

現在、特定技能・技能実習制度の見直しに向けて、有識者会議が行われ議論が進んでいます。10月27日に行われた第13回有識者会議では、たたき台が発表されました。
主に議論されている内容は以下の通りです。

最終報告書たたき台(概要)

1.新制度及び特定技能制度の位置付けと関係性等
2.新制度の受入れ対象分野や人材育成機能の在り方
3.受入れ見込数の設定等の在り方
4.新制度での転籍の在り方
5.監理・支援・保護の在り方
6.特定技能制度の適正化方策
7.国・自治体の役割
8.送出機関及び送出しの在り方
9.日本語能力の向上方策

▶出所:出入国在留管理庁「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議(第13回)

旧制度と新制度の違いとして、主に現在の技能実習制度に大きな変更が生じますが、これまでほとんど形骸化していた制度の目的が「人材育成による国際貢献」から「人材確保と人材育成」にかわります。これにより、今までは実習・研修目的だったためそもそも「転職」という概念がなく、転職はできませんでしたが、今後は1年以上の就労と、一定以上の技能・日本語能力を条件に転職が可能となります。
また、在留期間も現在は技能実習3号まで最長5年でしたが、新制度で基本3年となります。現在の技能実習制度では、特定技能に移行できない分野がありましたが、新制度ではすべての職種で移行が可能となる予定です。

だいぶ具体的なアウトラインが公表されましたが、制度ががらりと変わりそうです。特に、現行の技能実習制度を利用して人材確保をしていた企業については、改めて組織体制について検討が必要かと思います。国籍問わずの柔軟な検討と、外国人の場合には在留資格と従事可能な業務内容、支援体制に係るコストなどを合わせて抜本的に見直しを行って、最適解を探る必要があります。

特定技能1号の分野拡大の可能性について

国土交通省は「特定技能1号」の対象に自動車運送業を追加することの検討を行っています。早ければ2023年度中に実現する可能性があります。
物流業界は人手不足が深刻ですが、2024年からは運転手の時間外労働に年間960時間の条件が設けられることで、さらなる人手不足が予想されております。

インバウンド需要の拡大で外国人観光客の増加も伴いタクシー運転手も不足していることから、タクシー運転手についても分野拡大の対象となるかもしれません。

▶参考:日本経済新聞「「特定技能」にトラックなどの運転手 国交省が追加検討」2023.9.13

まとめ

特定技能・技能実習について様々なニュースが日々続いております。
特に技能実習制度の見直しは大きな動きになりそうです。今までと同じやり方の人材確保の進め方は、近いうちに通用しなくなる可能性があります。国籍問わずの組織体制の見直しは必須です。
特定技能2号評価試験も少しずつですが実施する分野が拡大してきました。また、自動車運送業の分野拡大など、外国籍の方が活躍するフィールドは今後ますます広がります。
当事務所では、企業様の適切な外国人雇用をサポートさせていただいております。是非、ご活用ください。

大久保章子
大久保章子
行政書士
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東京・池袋の行政書士事務所で、外国人ビザ、外国人雇用支援、設備投資などの補助金の申請サポートをしております。全国対応可能
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