【24年3月から!】「外国人留学生の就職促進に向けた運用等の見直し」について

Akiko Ohkubo

2024年2月29日に法改正があり、留学生がより就職活動をしやすくなるように一部の在留資格で運用の見直しがありました。日本の在留資格制度には「就労ビザ」というものはなく、就労が可能な在留資格ごとに従事可能な業務内容が決められており、また在留資格ごとに学歴要件などがあります。この“縛り”によって、留学生は日本国内で就職するためには一定の制限がありますが、今回の見直しによって少しだけ緩和がされることになりました。

外国人留学生がより就職しやすいように

就労ビザの中でもいわゆる「高度人材」と位置付けられている「技術・人文知識・国際業務」や「特定活動(46号・本邦の大学卒業者)」については、とても厳しい要件が付されていました。
その結果、留学生の中にはせっかく日本国内に就職先がきまっても、あてはまる在留資格が無く就労ビザへの変更が叶わない、ということも珍しくありませんでした。

様々な声を受けて、「技術・人文知識・国際業務」と「特定活動(46号・本邦の大学卒業者)」において2024年2月29日付にて法改正があり、要件の一部緩和がありました。

出所:出入国在留管理庁「外国人留学生の就職促進に向けた運用等の見直しについて

変更点を分かりやすく解説

具体的に変更になった点について解説をします。

「技術・人文知識・国際業務」について

就労ビザの一つである「技術・人文知識・国際業務」では、学校で勉強した内容に関連する業務に従事することが条件となりますが、専門卒の場合はこのハードルがなかなか高いものになります。

学歴や職歴の要件のある「技術・人文知識・国際業務」になりますが、勉強したことと業務内容がリンクしている必要があります。大卒以上の場合は比較的緩やかに見られていましたが、専門学校卒業の場合は厳しく関連性を審査されていました。
専門学校で学んだ科目で業務内容のうち関連する科目数が1,2科目では「専攻科目と従事しようとする業務内容が関連している」とはみなしてもらえません。具体的な割合までは公表されていませんがそれなりの割合の科目が関連している必要がありました。

しかし、今回の法改正によって、すべての専門学校が対象になるわけではありませんが、特別な認定(※)を受けた専門学校を卒業した場合には、大卒者同様に勉強内容と業務内容の関連性については柔軟に判断されることになりました。

「専修学校の専門課程における外国人留学生キャリア形成促進プログラムの認定に関する規程(令和5年文部科学省告示第53号)」第2条に定める文部科学大臣による認定を受けた専修学校の専門課程の学科を修了した者(以下「認定専修学校専門課程修了者」という。)については、企業等と連携して実習等の授業を行っていることや、日本社会に関する理解を促進する環境が整備されていることなどを
認定要件とする専門課程を修了し、質の高い教育を受けたことにより、修得した知識を応用できると考えられることから、専攻科目と従事しようとする業務の関連性について、柔軟に判断することとしています。

出所:出入国在留管理庁「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等について

※特別な認定=「『専修学校の専門課程における外国人留学生キャリア形成促進プログラムの認定に関する規程(令和5年文部科学省告示第53号)」』2条に定める文部科学大臣による認定」を指します。

「特定活動(46号・本邦の大学卒業者)」について

「特定活動(46号・本邦の大学卒業者)」については、今までは日本語能力検定1級を持ち、日本の大学(院)以上を卒業している留学生のみが使える制度でした。
一方で、他の在留資格では大学卒業相当には短大卒や高度専門士取得者を含んでいましたが、この在留資格ではこれらは除外されていました。

今後については、日本の短期大学生においても本制度は利用できるようになり、また前述で説明をした特別な認定を受けている専門学校を修了し「高度専門士」を取得した留学生においても本制度を利用できることになりました。

高度専門士とは修業年限が4年以上の専門課程になり、2年制の「専門士」とは異なる制度となります。また認定とは、「「専修学校の専門課程における外国人留学生キャリア形成促進プログラムの認定に関する規程(令和5年文部科学省告示第53号)」第2条に定める文部科学大臣による認定」を指します。
この制度では、「認定を受けていない専門学校の卒業生」・「高度専門士ではなく専門士」の方は利用できませんので注意をして下さい。

特定活動(46号・本邦の大学卒業者)については、活動が可能な業務内容の範囲が広く、留学生にとっては就職活動の幅が広がることから利用を検討したい在留資格の一つです。今回の変更による良い影響は大きいのではないでしょうか。

まとめ

以上、外国人留学生の就職に関する法改正について紹介をしました。
日本で就職をするためには、在留資格ごとに認められた活動の範囲内でしか職探しができませんでした。それも最終学歴や日本語能力によって、同じ在留資格であって条件が異なるなど分かりにくいです。しかし、正しく制度を理解することで就職活動の幅が広がることに違いはありません。うまく活用をされてください。

大久保章子
大久保章子
行政書士
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東京・池袋の行政書士事務所で、外国人ビザ、外国人雇用支援、設備投資などの補助金の申請サポートをしております。全国対応可能
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