派遣だからうちは関係ない」はもう通用しない!新ルール下の「外国人派遣」で派遣先が絶対に確認すべき3つのポイント
「外国人を派遣で受け入れているが、ビザのことは派遣会社に任せきりだ」
「うちは派遣先だから、入管の審査や書類には関係ないと思っている」
もし貴社がそうお考えであれば、今すぐその認識をアップデートする必要があります。
令和8年(2026年)3月9日より、在留資格「技術・人文知識・国際業務(以下、技人国)」における派遣形態の審査要件が劇的に変わります 。出入国在留管理庁が発表した新運用では、「派遣先企業」についても申請時に資料を提出しなければならないことになりました 。
行政書士の視点から、派遣先企業が直面する「無関係では済まされない」実務の変化とリスクを徹底解説します。
●出入国在留管理庁:在留資格「技術・人文知識・国際業務」
●出入国在留管理庁:(令和8年2月24日掲載)申請人が派遣形態で就労する場合の取扱いについて
逃れられない「誓約書」への署名義務

今回の変更で最も衝撃的なのは、派遣先企業に対しても「誓約書(参考様式)」の提出が義務付けられたことです 。
これまでは、派遣元(派遣会社)が入管局に対して「適正に雇用します」と誓約すれば済みましたが、今後は派遣先も以下の事項を公式に誓約しなければなりません。
- 活動範囲の遵守: 「技人国」の活動範囲(専門的・技術的業務)を理解し、その範囲内の業務にのみ従事させること 。
- 虚偽の否定: 入管に提出する業務内容等の書類に虚偽がないこと 。
- 調査への協力: 入管局が行う書類提出指導や、実地調査(現場確認)に全面的に応じること 。
この誓約書に署名するということは、万が一現場で「通訳として呼んだ外国人に、人手不足だからと梱包作業を手伝わせた」といった事態が発覚した場合、派遣先企業も「入管に対して虚偽の誓約をした」とみなされることを意味します 。


【重要】貴社は「何と書いて申請しているか」を把握していますか?

ここで、派遣先企業の皆様に改めてお聞きしたいことがあります。 「派遣されている外国人が、どのような業務内容で入管に申請され、許可を得ているか」を正確に把握していますか?
「技人国(技術・人文知識・国際業務)」という在留資格は、あくまで「大学等で学んだ専門知識」や「実務経験」を必要とする業務に従事するためのものです。
「技人国」で認められる業務の境界線
- 技術: エンジニア、プログラマー、設計など
- 人文知識: 企画、マーケティング、営業、経理など
- 国際業務: 通訳・翻訳、語学の指導、海外取引業務など
よくある「勘違い」と「不法就労」のリスク
現場でよく見受けられるのが、「専門業務のついでに、少しだけ現場を手伝ってもらう」というケースです。
- 「翻訳担当だが、忙しい時はラインで検品を手伝わせている」
- 「営業事務だが、人手が足りない時にレストランの配膳や清掃をさせている」
これらは、たとえ短時間であっても「資格外活動」となり、実は不法就労に該当します。派遣先企業は「派遣会社が“短い時間なら大丈夫”そう言ったから」では済まされません。今回の法改正により、派遣先は「申請書に書かれた詳細な活動内容」を理解し、その通りに働かせることを直接誓約させられるからです 。
もし、派遣会社が「事務職」で申請しているのに、貴社が「現場作業」をメインでさせていれば、それは誓約違反であり、貴社自身が法を犯していることになります。
入管局が「貴社の現場」へ直接やってくる

新運用では、入管審査の際、派遣元だけでなく派遣先に対しても、業務内容や活動状況について直接確認を行う場合があることが明文化されました 。
これまでは派遣会社への書類審査が中心でしたが、今後は入管職員が貴社のオフィスや現場に現れ、「実際にどのような机に座り、どのようなパソコンを使い、どんなアウトプットを出しているか」を直接確認しに来る可能性があるのです 。
もし調査において、誓約書に署名した責任者が「業務内容は把握していない」と答えたり、実態が申請内容と異なったりした場合、その外国人のビザが不許可になるだけでなく、貴社は「不適切な受け入れ先」としてマークされ、今後一切の外国人派遣を受けられなくなるリスクさえはらんでいます 。
「派遣先管理台帳」が審査書類になる怖さ

さらに、在留期間の更新の際には、貴社が作成している以下の書類の写し等を入管へ提出しなければならなくなります 。
- 派遣元管理台帳(写し)
- 派遣先管理台帳(写し)
- 就業状況報告書(写し)
派遣先管理台帳は、労働者派遣法で作成が義務付けられているものですが、これまでは主に労働局の管轄でした。しかし令和8年3月からは、これが入管局の手に渡り、「適正な就労が行われていたか」の証拠として扱われます 。
台帳に記載された業務実績が、許可された専門業務の範囲を逸脱していれば、更新は認められません。派遣先としての管理体制そのものが、今後の在留資格変更許可申請や在留期間更新許可申請の許可・不許可を分ける時代になります。
派遣先企業が今すぐ取るべきアクション

この法改正は、単なる事務手続きの変更ではありません。派遣先企業に「法令遵守の連帯責任」を突きつけるものです。今すぐ以下の点を確認してください。
- 申請内容の確認: 派遣されている外国人が、入管に「どんな職種・業務」で届け出られているか、派遣会社から申請書の写し等を取り寄せて確認する。
- 業務実態の再点検: 許可された専門業務以外の「単純労働」に従事していないか、現場を精査する。
- 派遣会社との対話: 「令和8年3月からの新運用に向けて、誓約書の署名や、万が一の入管調査に協力できる体制があるか」を社内で協議する。
派遣先企業としての「リスク管理」が、そのまま貴社の事業の継続性を左右する時代になりました。
詳細な変更内容と専門的な解説はこちら
今回の要件変更の全体像や、派遣会社側がどのような対応を迫られているのかについては、以下の詳細ページで詳しく解説しています。
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