【試験開始!】気になる「特定技能2号」の技能レベル要件について
2023年8月に特定技能2号がそれまで2分野だったのが11分野に拡大しました。また、特定技能制度が開始してもうそろそろ5年を迎え、「特定技能1号」で在留できる最長の在留期間5年の満了者も出始めます。これを受けて、「特定技能2号」の試験が開始されるようになりました。「特定技能2号」では試験合格だけでなく、実務経験も要件になります。本編では、「特定技能2号」の技能レベル(試験、実務経験)を中心にまとめました。
特定技能2号について
「特定技能」は2019年5月に新設された比較的新しい在留資格(ビザ)です。この在留資格(ビザ)は、日本で特に人手不足の著しい産業において一定水準以上の技能や知識を持つ外国人労働者を受け入れて、人手不足を解消するために作られたものです。「特定技能」の大きな特徴として、雇用できる業種(12の限定された業種)、従事できる活動内容が細かく決められており、この業務に従事する外国人はその分野の試験を合格していることが求められます。特定技能は、在留資格「特定技能1号」と「特定技能2号」の2種類があります。
「特定技能2号」は、「特定技能1号」よりもより熟練した技能が求められ、マネジメントや管理業務を行う活動を行うための在留資格(ビザ)になります。「技能実習生」よりも「特定技能1号」の方が熟練した人材、という位置づけでしたがさらに業務に精通し管理業務まで担うことができるのが「特定技能2号」になります。
・特定技能1号:特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格
・特定技能2号:特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格
項目 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
---|---|---|
在留期間 | 通算で上限5年まで | 3年、1年または6か月ごとの更新 |
技能水準 | 試験等で確認 (技能実習2号修了者は試験免除) | 試験等で確認 |
日本語能力水準 | 生活や業務に必要な日本語能力を試験等で確認 (技能実習2号修了者は試験免除) | 分野による |
家族の帯同 | 基本的に認められない | 要件を満たせば可能(配偶者、子) |
支援 | 支援の対象 | 支援の対象外 |
特定技能は、以下の大枠4点の基準から審査がされることになります。下記の細かい要件を全て満たすことで許可を得られます。これは、「特定技能1号」「特定技能2号」の共通事項になります。
- 特定技能外国人が満たすべき基準
- 受入機関自体が満たすべき基準
- 特定技能雇用契約が満たすべき基準
- 支援計画が満たすべき基準
【特定技能の要件を満たしていることのイメージ】
「特定技能2号」を申請する人材は、一定基準以上の技能レベルが必要です。この技能レベルや試験や実務経験などから判断され、具体的に分野や職種などに応じて細かく基準が決められています。
特定技能2号の技能レベルについて
「特定技能2号」で求められる技能レベルは下記のとおりです。分野によって求められる内容は異なりますが、もし現在雇用している「特定技能1号」外国人をキャリアアップさせて「特定技能2号」に変更をすることを考えている場合は、必要な実務経験の年数を見据えた配置転換などの検討をあらかじめした方がよいと言えます。
1号との大きな違いとして、試験要件を満たしていればよいものではないことに注意が必要です。
特定 産業分野 | 試験 | 実務経験 |
---|---|---|
ビルクリーニング | 「ビルクリーニング分野特定技能2号評価試験」 又は「技能検定1級」 | 建物の清掃業務に複数の作業員を指導、現場を管理する者として、2年以上。 |
素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業 | 「製造分野特定技能2号評価試験」 及び「ビジネス・キャリア検定3級」 又は「技能検定1級」 | 日本国内に拠点を持つ企業の製造業の現場における実務経験、3年以上 |
建設 | 「建設分野特定技2号評価試験」、「技能検定1級」 又は「技能検定単一等級」 | 能力評価基準のレベル3に対応する必要な就業日数(職⾧及び班⾧)、0.5年~3年(職種による) ※詳しくはこちら p.57 |
造船・舶用工業 | 「造船・舶用工業分野特定技能2号試験」 又は「技能検定1級」 | 監督者として複数の作業員を指揮・命令・管理しながら、造船・舶用工業における実務経験、2年以上 |
自動車整備 | 「自動車整備分野特定技能評価2号試験」 又は「自動車整備士技能検定試験2級」 | 道路運送車両法第 78 条第1項に基づく地方運輸局長の認証を受けた事業場の実務経験(分解、点検、調整等の整備作業)、3年以上 |
航空 | 「航空分野特定技能2号評価試験」 又は「航空従事者技能証明」 | ・空港グランドハンドリング: 空港グランドハンドリングの現場において技能者を指導しながら作業に従事した実務経験 ・航空機整備区分: 国家資格整備士等の指導・監督の下、ドック整備や材料・部品等の領収検査等、機体、装備品等の専門的・技術的な整備業務の実務経験、 3 年以上 |
宿泊 | 「宿泊分野特定技能2号評価試験」 | 国内外の宿泊施設において複数の従業員を指導しながら、フロント、企画・広報、接客、レストランサービス等の業務に従事した実務経験、2年以上 |
農業 | 「2号農業技能測定試験」 | 耕種農業若しくは畜産農業の現場において複数の作業員を指導しながら作業に従事し、工程を管理する者と しての実務経験、2年以上 又は、耕種農業若しくは畜産農業の現場における実務経験、3年以上 |
漁業 | 「2号漁業技能測定試験」 及び「日本語能力試験N3以上」 | ・漁業区分:漁船法上の登録を受けた漁船において、操業を指揮監督する者を補佐する者 又は作業員を指導しながら作業に従事し、作業工程を管理する者としての実務経験、2年以上 ・業務区分:養殖業 漁業法及び内水面漁業の振興に関する法律に基づき行われる養殖業の現場において、養殖を管理する者を補佐する者又は作業員を指導しながら作業に従事し、作業工程を管理する者としての実務経験、2年以上 |
飲食料品製造業 | 「飲食料品製造業特定技能2号技能測定試験」 | 飲食料品製造業分野において複数の作業員を指導しながら作業に従事し、工程を管理する者としての実務経験、2年以上 ※1号特定技能外国人を「工程を管理する者」として従事させる際は、客観的に証明する書類、例えば辞令や職務命令書等をもって、上記に例示した役職を命じ、業務に従事させることが必要 |
外食業 | 「外食業特定技能2号技能測定試験」 及び「日本語能力試験N3以上」 | 飲食店において、複数のアルバイト従業員や特定技能外 国人等を指導・監督しながら接客を含む作業に従事し、店舗管理を補助する者(副店長、サブマネージャー等)としての実務経験、2年以上 |
※“実務経験”の定義や細かい条件は、それぞれの分野別の運用要領に記載があります。「特定技能2号」を考えている場合には、まずはそれぞれの分野の運用要領のご確認をお願いします。
▶参考:出入国在留管理庁「特定技能制度」
特定技能2号の技能評価試験について
肝心の「特定技能2号」の試験については、実はまだ全分野で実施されているわけではなく、多くの分野でようやく試験情報がリリースされ始めた、という状態です。分野にもよりますが、この試験を受験する要件に前章で説明した実務要件を満たしていることが確認できないと受験もできないようなので、ご注意ください。
2023年11月時点の試験情報をまとめました。
No | 分野 | 試験実施情報 | 情報掲載ページ |
---|---|---|---|
1 | 介護 | 2号無し (介護福祉士→ 在留資格「介護」) | |
2 | ビルクリーニング | 情報なし | |
3 | 素形材産業・産業機械・電気電子情報関連 | 【実施予定】 金沢(11月20日) 大阪(11月20日) 福岡(11月22日) 東京(11月24日) 仙台(11月27日) 浜松(11月27日) 水戸(11月29日) 名古屋(11月29日) 岐阜(11月30日) 広島(11月30日) ※2024年1-2月も実施予定あり | https://www.sswm.go.jp/exam_f_02/ |
4 | 建設 | 9月中に試験日程リリース 11月から試験開始 | https://jac-skill.or.jp/news/files/pressrelease_20230530.pdf |
5 | 造船・舶用工業 | 溶接分野は実施 | https://www.classnk.or.jp/hp/ja/authentication/ evaluation/guide/welding2.html |
6 | 自動車整備 | 情報なし | |
7 | 航空 | 情報なし | |
8 | 宿泊 | 情報なし | |
9 | 農業 | 試験サンプルの掲載あり | https://asat-nca.jp/textbook |
10 | 漁業 | 情報なし | |
11 | 飲食料品製造業 | 情報あり 2024年3月末までに実施予定 ※当面は企業申込のみ受付け | https://otaff1.jp/ |
12 | 外食 | 情報あり 2024年3月末までに実施予定 ※当面は企業申込のみ受付け | https://otaff1.jp/ |
特定技能2号の試験情報のアップデートについて
当事務所が運営しているこちらのサイトにて毎月更新をしています。
是非ご確認ください。
まとめ
以上、「特定技能2号」を申請するために必要な試験や実務要件を中心に、「特定技能2号」について解説しました。本編では「特定技能2号」の外国籍人材にフォーカスをあてて説明をしましたが、特定技能ではその他にも満たすべき要件がたくさんあります。「特定技能2号」の詳しい説明については、当事務所が運営しているこちらのサイトにて解説をしておりますので、こちらも是非ご確認ください。