1号未経験でも「特定技能2号」は雇用できる?即戦力採用のメリットと注意点
人手不足が深刻化する中、特定技能制度は大きな転換期を迎えています。「特定技能2号」の対象分野が大幅に拡大し、2号に変更するために必要な試験合格者も増えました。また、特定技能は転職も自由なため、特定技能2号外国人から求人に応募があり「1号を経ずに、いきなり2号の外国人を採用したい」という企業様からのご相談が増えています。
「これまで特定技能外国人を雇ったことがないが、制度を利用できるのか?」 「2号を採用する際、1号と比べて何に注意すればいいのか?」
本記事では、こうした疑問を解消し、特定技能2号から始める外国人採用の戦略的メリットと実務上のポイントを詳しく解説します。
結論:特定技能1号の雇用実績は「不要」です

まず、最も多く寄せられる疑問にお答えします。特定技能1号を雇用したことがない企業であっても、特定技能2号の外国人を雇用することは制度上、全く問題ありません。
特定技能2号は、試験や実務経験によって「熟練した技能」を証明した外国人に与えられる資格です。受け入れ側の企業に求められるのは、「過去に1号を指導した実績」ではなく、「特定技能外国人を受け入れる体制があるか」という現在のコンプライアンス状況です。
したがって、優秀な人材が2号の要件を満たしてさえいれば、1号というステップを飛ばして直接雇用することが可能です。
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特定技能2号採用が企業にもたらす3つの大きなメリット

なぜ今、多くの企業が2号採用に注目しているのでしょうか。そこには1号にはない、経営上の大きな利点があります。
① 月々の管理コスト(支援委託費)が不要
特定技能1号を雇用する場合、企業には「支援計画」の実施義務があり、多くの場合、月額数万円の委託料を支払って登録支援機関へ外注します。しかし、2号外国人にはこの支援義務がありません。自律的に生活できる能力があるとみなされるため、日本人社員と同様の労務管理で運用でき、ランニングコストを大幅に抑制できます。
② 期間制限なし・家族帯同による「長期定着」
1号の在留期間は通算5年が上限ですが、2号には更新回数の制限がありません。さらに、配偶者や子の帯同も認められます。これは企業にとって、教育した優秀な人材が「帰国」を理由に離職するリスクがなくなり、10年、20年という長期的なスパンで自社の力になってもらえることを意味します。
③ 即戦力としての高い技能水準
2号は「熟練した技能」を要する業務に従事します。現場のリーダー(班長)クラスとしての活躍が期待される人材であるため、1号以上に教育コストがかからず、採用直後から高い生産性を発揮してくれます。
企業がクリアすべき「受入れ要件」

特定技能2号外国人の採用には、企業として以下の基準をすべて満たしている必要があります。
1. 対象となる産業分野であること
まず、貴社の事業内容が特定技能2号の対象分野(建設、飲食料品製造業、外食業、ビルクリーニング、農業、漁業など)に該当している必要があります。
2. 企業としての共通基準
分野に該当していても、以下の共通基準を一つでも満たさない場合は雇用できません。ここは入管が最も厳しく審査するポイントです。
- 法令遵守: 労働法、社会保険法、租税に関する法令を遵守していること。
- リストラの禁止: 過去1年以内に、同種の業務を行う労働者をリストラしていないこと。
- 行方不明者の未発生: 過去1年以内に、自社の責任で行方不明者を発生させていないこと。
- 欠格事由: 過去5年以内に出入国または労働関連法令に関する重大な違反がないこと。
- 支払体制: 報酬を預貯金口座への振込で支払うなど、支払の透明性が確保されていること。
3. 分野別の「上乗せ要件」
業種によっては、特定の協議会への加入や、独自の告示(例:建設分野のCCUS登録など)を守る必要があります。
上記の企業が満たしていなければならない要件はほんの一例です。詳しくは、入管HPもしくは、先ほど紹介した弊所メディアでも詳しくご説明しております。よろしければこちらもご確認ください。

【重要】実務上の落とし穴:採用面接・申請の注意点

メリットが多い2号採用ですが、実務上間違いやすい「罠」があります。
「2号カード」を持っていても再申請が必要
最も多い勘違いが、「既に2号の在留カードを持っている人なら、すぐに働いてもらえる」という思い込みです。特定技能ビザは「会社名」が指定されているため、転職して自社に迎える場合は、改めて入管へ申請を行い、自社での就労許可を得る必要があります。無許可で働かせると不法就労助長罪に問われるため、必ず入社前に手続きを完了させなければなりません。
外国人本人にかかる「特定技能2号要件」をきちんと確認する
応募者が「2号の要件を満たしている」と言っていても、実際に試験合格証や実務経験証明書を精査すると、要件が不足しているケースが散見されます。特に1号の経験がない中でこれらを判断するのは難易度が高いため、採用を決める前に外国人本人が「特定技能2号」の要件を満たしているかしっかり確認をしましょう。
まとめ
特定技能2号からの採用は、1号未経験の企業様にとっても非常に有効な戦略です。
「この人材で本当に許可が出るのか?」「自社が要件を満たしているか?」といった不安がある場合は、ぜひ当事務所へご相談ください。貴社の状況に合わせた最適な受入れプランをご提案いたします。

