
もし万が一、ビザの申請で不許可になってしまったらどうしよう・・・
就活を終えて、ビザ申請を控えている人や現在申請待ちの人は、ビザの結果次第で状況が変わるため気になる気持ちは分かります。
本編では、そもそも不許可にならないために気を付けるポイントや、不許可になってしまった場合について説明します。
まずは、就職活動の流れの確認

在留資格の申請は、内定が終わった後に行います。
外国籍の方の就職活動はまずは「在留資格(VISA)」を確認するところから始まります。ご自身の学歴や経歴で取ることができる在留資格(VISA)は何か、またその在留資格(VISA)で活動可能な仕事内容はどのようなものかを把握しましょう。
在留資格や仕事内容が決まったら、エントリーする企業を決めます。そして、業界やその企業について研究します。
研究した内容をもとに、履歴書やエントリーシートを作成し、準備が整ってから会社にエントリーをします。
無事に内定がでたらいよいよ在留資格のVISAの申請になります。
申請が必要な方は、「留学」ビザの方や、「高度専門職1号」や「特定活動」の方など、違う在留資格に切り替える必要がある方になります。
ビザの切替が不要な方の代表例として『技術・人文知識・国際業務』をお持ちの方で似たような業務内容での転職する場合があります。
ビザの許可が出たら、いよいよ入社になります。
在留資格とは
「在留資格」とは、外国人が合法的に日本に上陸・滞在し、活動することのできる範囲を示したものです。2021年2月現在29種類の在留資格があります。在留資格は「ビザ」という名称で呼ばれることが多いです。
在留資格は、活動内容や身分(配偶者・子など)によって割り当てられています。日本に滞在するすべての外国人が、何かしらの在留資格を持っているということになります。よって、外国人は活動内容や身分(ライフスタイル)に合わせて、在留資格を変更しながら日本に滞在することになります。
在留資格の一覧は下記になりますが、言い換えると以下に当てはまるものがない場合は、日本での滞在はできないということになります。

ポイントは在留資格の内容と活動内容(仕事内容)がリンクしていないと「資格外活動」に該当し、許可を得ずに行っている場合は罰せられることになります。特に、就労ができる在留資格で青い欄に書かれている在留資格はたくさんあり、適切なものを選ばなければなりません。
一方で、「身分・地位に基づく在留資格」(永住者、日本人の配偶者等、永住者のの配偶者等、定住者等)には活動制限はありません。つまり、どのようなお仕事でお問題ありません。
まずは、不許可のリスクを減らす
不許可のリスクを減らすための最大のポイントは「就労ビザ」についてよく理解することが挙げられます。
ここまで、外国籍の方が活動内容に合った在留資格を持っている必要があることを説明しました。とはいえ、29種類も在留資格が列挙されていてどのように判断すればよいか、なかなか分かりにくいと思います。
ここでは、代表的な就労ビザについての説明と、その在留資格で就業可能な業務内容について触れたいと思います。
代表的な就労ビザの例
- 技術・人文知識・国際業務
- 高度専門職
- 特定活動(46号)
- 特定技能
これらの在留資格は、一般的な「サラリーマン」に与えられる在留資格になります。ポイントはご自身の学歴要件や試験の要件を満たしていれば、在留資格を取れるわけではなく、業務内容についてもしっかりと確認する必要があります。
各在留資格と業務内容・学歴要件については以下になります。

さらに詳しく、業務内容と在留資格の関係をみていきたいと思います。それぞれの在留資格では下記のように可能な業務内容が異なります。

在留資格毎にできる業務内容を詳しく説明します。
日本で就職を目指す外国籍の方にとって『技術・人文知識・国際業務』は一番馴染みのある在留資格(VISA)だと思います。このビザは、「大学(院・短大)もしくは、日本の専門学校を卒業した方、もしくは、10年の実務経験がある人」がエントリーできる在留資格です。
ただし、学歴や職歴があればどんな仕事でも応募できる在留資格ではありません。この在留資格では、例えば理系はエンジニアや研究開発、文系ではマーケティングや法人営業、また管理業務全般や翻訳通訳、外国の感性を活かしたデザインの業務内容に就くことができます。
この『技術・人文知識・国際業務』の在留資格では、オフィスワーカーやホワイトカラーの方を想定しており、工場のラインや飲食店でのホールスタッフ、ホテルのベッドメイクなどの単純労働は一般的にはできません。ただし、研修期間などの一時的な期間であれば認められる場合もあります。
『技術・人文知識・国際業務』の在留資格では、『技能』の仕事はできません。よくある『技能』として、3級以下の自動車整備士、精密機器のメンテナンス、フライス盤等の操作が該当します。それだけをやる場合は、『技術・人文知識・国際業務』に該当しない場合もあるので注意してください。
『高度専門職1号(ロ)』は、『技術・人文知識・国際業務』のうち『技術・人文知識』の業務内容で、ポイント制により70点以上のポイントを獲得した場合に申請できる在留資格です。
ポイント制については☞こちら
『特定活動(46号)』は、2019年5月にできた比較的新しい在留資格です。日本の大学を卒業して高い日本語能力を持っている(日本語能力検定1級)を人材が取得が可能な在留資格になります。『特定活動』と聞くとマイナスのイメージを持つ人もいるかもしれませんが、このビザは『技術・人文知識・国際業務』と同じで、家族を日本に呼ぶこともできますし、将来的には『永住者」ビザも認められる在留資格になります。
この在留資格のよい点としては、『技術・人文知識・国際業務』では当然に認められなかった現業にも従事することができることがあります。これによって、タクシードライバーでの観光案内や、飲食店・小売店での接客販売、ホテルでのベルボーイやベッドメイク等の付随業務も業務内容に認められることができます。
『技術・人文知識・国際業務』では許可を得られるか微妙な業務内容の場合で、要件を満たしている人は『特定活動(46号)』を申請されるほうがよいです。
『特定技能』は日本において特に人手不足の著しい業種・業界の14分野において今まで就業が認められなかった現業の業務に従事することができる在留資格です。
学歴の要件はないですが、特定技能の試験と日本語能力検定4級以上に合格している必要があります。また、技能実習2号を修了している人は移行が可能な場合があります。
14分野には、介護業、ビルクリーニング業、素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業、建設業、造船・舶用業、自動車整備業、航空業、宿泊業、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業があります。
※活動内容が該当する就労ビザがない場合は、日本で働くことはできません。ただし、活動制限のない身分系の在留資格であれば就業は可能です。
基本的には、きっちりと在留資格と学歴要件を確認すれば不許可になるリスクは格段に減ります。就職がなかなか決まらなくて焦ることがあるかもしれませんが、ここは妥協してはいけません。
もし不許可になってしまったら
不許可になってしまった場合、1度の不許可で諦めて帰国しなければならないかというとそういうわけではありません。理由次第では再申請をして許可を得ることも可能です。
不許可になると入管より封筒が到着し、期限までに入管に来るように求められます。入管に行くと「何故、不許可になってしまったのか」を教えてもらうことができます。ここで、在留期限が短い場合「特定活動(出国準備)」に在留資格を変更するように言われる場合もあります。ここで「特定活動(出国準備)」に切り替えた場合であっても、場合によっては再申請も可能です。在留資格を変更した場合もそうでない場合も、在留期限までに申請をすることが可能です。
再申請をして許可を得るポイントは、この不許可の聴き取りにあります。不許可の聴き取りで必ず聞くべき点は以下の3点です。
不許可の聴き取りのポイント
- よくなかった部分や説明が足りなかった部分を聞く
- 再申請をすることが可能かを聞く (←この部分が最も大事です)
- どの部分を改善すれば再申請が可能かを聞く
特に、「再申請をすることが可能かどうか」を尋ねると、審査官は「一度帰国し、その後申請をしたほうがよいのか」、「在留期限内に再申請をして許可の可能性があるのか」を教えてもらえます。不許可の理由次第では、一度帰国することが望ましい場合もあります。まずはこの見極めが大事です。
不許可となってしまった場合、よくなかった部分や説明が足りなかった部分を確認し、基本的にはその部分を改善することができれば許可を得ることができます。そのため、不許可の理由の聞き取りでは「よくない部分・説明不足の部分」を聞き、「どうすればよいのか」をしっかり聞きましょう。
改善が可能な場合は、どのように改善したかを分かりやすく説明した文書を申請書に添付して、在留期限内に申請をします。
再申請が可能な場合
再申請が可能な場合は、要件自体は満たしているけれども、説明不足で入管の審査官に「要件を満たしている」と認めれもらえなかった場合です。この場合は、再度説明が足りなかった部分を補うことで再申請を行うことになります。
「要件を満たしている」ということが審査官に伝われば許可を得ることができます。不許可の理由の聞き取りの際に、どのように説明をすればよいかということを聞くことができれば、それに合うような書類を提出します。
再申請が難しい場合
再申請が難しい場合として、以下のようなことが考えられます。
- 在留状況がよくなかった(例えば、アルバイトのし過ぎ、出席率が著しく悪いなど)
- そもそも学歴要件などの外国人にかかる要件を満たしていない場合(例えば、卒業予定の学校を卒業できなかったなど)
- 業務内容が在留資格に合っていなく、また会社としてはその業務内容でしか採用する予定がない場合
上記の場合で①②については諦めて帰国するしかありません。特に①については一度帰国し反省してからでないと入国は難しいです。②については場合によっては、他の在留資格で再挑戦することが可能ですが、この場合、多くは就職活動からし直しになるかと思います。
③の場合は、業務内容が不許可の理由で改善が難しい場合には、改めて就職活動をする必要があります。この場合、現在の在留資格が「留学」で大学(院・短大)や専門学校に在学中の場合は、特定活動(就職活動)に切り替えることで、就職活動を継続することができます。

まとめ
以上、就労ビザで不許可にならないためのポイントについて解説致しました。
一度不許可になった場合でも、再申請をして許可を得られることは十分にあり得ます。また、一度帰国することになったとしても再度入国することも可能なため、諦めずに再申請をすることをお勧めします。
間違っても、不許可になってしまったことで慌てて日本にいたいというそれだけの理由で難民認定申請をすることはないようにして下さい。それこそあなたの人生を狂わせることになります。