
『永住者』ビザとは
『永住者』ビザは、一定の(厳しい)要件を満たしている人が法務大臣に「永住者」の在留資格の変更申請を行い、許可を得られた場合に取得できるビザです。
「永住者」ビザを取得することで、在留活動及び在留期間のいずれも制限がなくなります。なお、永住許可を受け「永住者」となった場合でも、再入国許可を取得せずに出国した場合や、出国後に再入国許可の期限が経過した場合には「永住者」の資格を失います。また、「永住者」であっても重大な犯罪を犯したりするなど「退去強制事由」に該当する場合は、退去強制手続きの対象となり、在留資格取消事由に該当する場合は、在留取消の対象にもなります。
よく、「永住者」と比較されるのが帰化ですが、帰化許可申請は「日本人」となることを意味します。日本は重国籍を認めていないため、母国の国籍を失うことになります。よく帰化のことを「日本のパスポートを手に入れる」という比喩をしますが、実際は、帰化後は母国に帰る際には母国では「外国人」になってしまうので、よくご家族や自分自身に相談してから決断しましょう。
帰化をして日本人になると、日本での永住は当然のこと、公務員を含む職業も自由に選択でき、また参政権(選挙での投票、議員に立候補できる)を得ます。名前も日本人と同様に「姓・名」で構成し、戸籍を持つことになります。
一方で「永住者」の場合は、あくまで「外国人」のままです。在留カードの携帯義務は継続し、住居地等の変更届け出義務や在留カードの有効期間の更新義務が課せられます。
「永住者」ビザの場合、必ずしも「永住」が確定しているわけではない一方で、比較的日本に自由に生活できることから、長く日本で生活したい方や、会社を経営したい方、職業を自由に選択したい方にとっては非常に魅力的な在留資格であり、多くの外国籍の方が取得を望まれる在留資格です。
永住者ビザの要件
「永住許可に関するのガイドライン(令和元年5月31日改定)」より
出入国在留管理庁HPに掲載されている「永住許可に関するガイドライン(令和元年5月31日改定)」では以下が掲載されいます。
『永住者』ビザ要件
- 素行が善良であること
法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいること。 - 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
日常生活において公共の負担にならず,その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること。 - その者の永住が日本国の利益に合すると認められること
ア 原則として引き続き10年以上本邦に在留していること。ただし,この期間のうち,就労資格(在留資格「技能実習」及び「特定技能1号」を除く。)又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していることを要する。
イ 罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。公的義務(納税,公的年金及び公的医療保険の保険料の納付並びに出入国管理及び難民認定法に定める届出等の義務)を適正に履行していること。
ウ 現に有している在留資格について,出入国管理及び難民認定法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間をもって在留していること。
エ 公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと。
※ ただし,日本人,永住者又は特別永住者の配偶者又は子である場合には,1及び2に適合することを要しない。また,難民の認定を受けている者の場合には,2に適合することを要しない。
原則10年在留に関する特例
永住申請では原則10年日本に在留している必要がありますが、日本での定着度や貢献度を加味して、以下の方は要件が緩和されています。ここでは、主な場合を掲載します。
10年の要件が緩和される方
- 日本人,永住者及び特別永住者の配偶者の場合,実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し,かつ,引き続き1年以上本邦に在留していること。その実子等の場合は1年以上本邦に継続して在留していること
- 「定住者」の在留資格で5年以上継続して本邦に在留していること
- 省略
- 外交,社会,経済,文化等の分野において我が国への貢献があると認められる者で,5年以上本邦に在留していること
- 省略
- 出入国管理及び難民認定法別表第1の2の表の高度専門職の項の下欄の基準を定める省令(以下「高度専門職省令」という。)に規定するポイント計算を行った場合に70点以上を有している者であって,次のいずれかに該当するもの
ア 「高度人材外国人」として3年以上継続して本邦に在留していること。
イ 3年以上継続して本邦に在留している者で,永住許可申請日から3年前の時点を基準として高度専門職省令に規定するポイント計算を行った場合に70点以上の点数を有していたことが認められること。 - 高度専門職省令に規定するポイント計算を行った場合に80点以上を有している者であって,次のいずれかに該当するもの
ア 「高度人材外国人」として1年以上継続して本邦に在留していること。
イ 1年以上継続して本邦に在留している者で,永住許可申請日から1年前の時点を基準として高度専門職省令に規定するポイント計算を行った場合に80点以上の点数を有していたことが認められること。
複雑な要件をCheck Sheetで確認したみよう!
永住者の要件て、複雑で分かりにくいです。しかも、一つでも不足している場合には不許可になる可能性もあります。
そこで、ネクステップ行政書士事務所では、分かりにくい永住者の要件をCheck Sheetで確認できるようにしました。
左のシートで全て①に〇がついた人は、永住申請の要件を満たしている可能性が高く、不許可のリスクが低い方です。
逆に、1つでも③に〇がついた人は残念ながら今は永住申請はむずかしいです。
②④に一つでも〇がついた方は、難しい申請になるため入管や行政書士に相談されることをお勧めします。
次の項目から、Check Sheetに沿って解説をしていきたく思います。
Check Sheetは以下からダウンロードすることもできます。

Check Point1:何年日本にいますか?
『永住者』ビザの許可を得るためには、原則引き続き10年日本にいなければなりません。そして10年のうち5年以上働いていないといけないですが、この期間は「就労ビザ」でなければなりません。つまり、留学生の間の資格外活動許可によるアルバイトの期間や、ワーキングホリデーの期間は5年に含みません。
また、この期間中、日本から長期に離れている場合(例えば、連続して90日以上、年間合計100日以上)は、”引き続き”日本にいるとは見なされないので注意が必要です。
一方、在留資格「定住者」「高度専門職」を持つ人や日本人や「永住者」ビザの方とご結婚されている場合は要件が緩和される場合があります。それぞれについてはCheckSheetで確認をしてみてください。
いずれの在留資格であっても、年数要件をクリアしてから申請をしなければ不許可になります。1日でも足りない場合はダメです。許可時に10年ではなく、申請時に10年経過している必要があります。
そしてどの在留資格でも共通して言えるのは、「1年」ビザでは永住申請は許可されません。「3年」「5年」の在留資格を持っている必要があります。
Check Point2:年金や税金はきちんと納めていますか?
年金や税金については、非常にルールが厳しくなりました。
まず、年金や税金については”たった1回””たった1日”でも未納や滞納があるだけで不許可になります。これは、例外はありません。厳しい話になりますが、その時、払いたくても払えなかったどんな事情があっても不許可になります。
一見難しそうですが、副業もせず会社員一筋で来られた方は、基本的には給料から天引きされて会社が支払ってくれているので問題ありません。
一方で、1カ月でも離職期間がある人や、会社を経営されている方は、確認すべき事項が複雑になります。特に、従業員がいなくても厚生年金に加入していなければならないというルールを知らずに国民年金で済ませている外国人社長は多く、これは永住者の要件を満たしていないということになります。
そのため、厚生年金に加入してしばらく納税をしてから申請をすることになります。また、離職期間のある人もその期間の国民年金の未払いや滞納があることもあり、しっかりと確認する必要がある事項になります。このため、会社員や離職期間がある人は、それだけで永住申請の難易度が格段に上がってしまうため、ご自身で判断せずに行政書士などに相談されることをお勧め致します。
Check Point3:収入は安定していますか?
収入に関しても、かなり要件が厳しくなりました。
独身の方で扶養者がいない場合は、最低300万円の収入が必要です。加えて扶養者(妻・夫・子ども・母国への仕送り)がいる場合は、1人あたり70万円プラスの年収が必要です。
ご結婚されている場合は「世帯年収」で計算します。そのため、(外国人の)ご自身が無収入でも、配偶者の方にしっかりと年収があれば問題はありません。
日本人の配偶者のアルバイト収入は世帯収入に含めますが、家族滞在などの在留者の収入は世帯収入に含めません。
また、家族滞在の方の場合、「扶養」されることが前提の在留資格のため、扶養の枠を超えるほどの収入がある場合、それはそれで在留不良とみなされる場合があるため注意をして下さい。
年収要件は、現在、就労ビザで働いているような方の場合は、以下の計算式で1年1年確認をすることになります。「源泉徴収票」などと照らし合わせながら確認をしてみてください。

Check Point4:日本で真面目に生活していますか?
この点で特に気にされるのが、運転の減点ではないでしょうか。軽微なものでしたら5年間で数回でしたら問題ありませんが、重大なものの場合1回でも不許可になる場合があります。もちろんこれは日本の基準になるため、母国では飲酒運転は認められていたとしても、日本では厳しく罰せられることになり、この場合1回でもしばらく申請できない期間が発生すると思ってください。
犯罪を犯している場合や、オーバーステイの経歴がある場合は、引き続き10年の在留を満たしていても、現時点ですぐに永住申請を申請して許可を得られない場合があります。
『永住者』ビザの審査はかなり厳格
永住者ビザの審査は2019年以降かなり厳しくなっています。
“たった1日”や”たった1度”、”たった1万円”、Check Sheetの項目を1つ満たさないだけで”不許可”になってしまいます。早く永住権を欲しい人こそ、慎重に要件を確認し、場合によっては入管や行政書士などに相談して確実に申請をされることをお勧め致します。
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